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動作の「減速」を制御する

■ 減速とは何か?

走る、跳ぶ、切り返す――あらゆるスポーツ動作には「加速」と同じくらい「減速」が存在します。減速とは、スピードや勢いをコントロールして止める、あるいは方向を変える局面のこと。

ここで身体を上手にコントロールできるかどうかが、ケガを防ぐ、次の動作へスムーズに移れるかを決める大きな要素です。ケガ予防と次の動作の速さを左右するカギと言えます。


■ 減速の役割

  1. 衝撃を吸収するブレーキ

    ジャンプ後の着地やダッシュのストップでは、体重の数倍の負荷が膝や足首にかかります。減速動作が拙いと、その衝撃が関節にもろに伝わり、前十字靭帯損傷やシンスプリントなどケガの原因になりかねません。

  2. 次の動作へのアクセル

    スポーツは「止まって終わり」ではなく、止まったらすぐに次の動きへ移行します。減速をスムーズに行える選手は、そのまま加速や方向転換に移行しやすく、プレー全体の動作スピードが上がります。

  3. 運動連鎖の完成度を高める

    減速では主に筋肉がエキセントリック収縮(伸ばされながら力を発揮)します。これが効いていると、着地が静かになり、身体全体で力を分散できます。逆に下手だと「ドスン」と大きな音で着地し、局所負担や動作のぎこちなさにつながります。


■ 減速が苦手な選手の特徴

  • バタバタ走って音が大きい

  • ジャンプ着地がドンッと響く

  • 止まるときにバランスを崩す

これは「衝撃吸収の下手さ」や「体幹の安定性不足」が背景にあります。減速スキルの低さ=ケガのリスクと動作効率の低さです。


■ 減速を鍛えるトレーニング例

  • ジャンプ→静かに着地ドリル

    膝と股関節をしっかり曲げ、着地音を小さくする練習。

  • デプスジャンプ(台から降りて着地制御)

    衝撃を吸収する筋のエキセントリック能力を高める。

  • 加速→急減速スプリント

    5〜10m走って、指定ラインでスッと止まる。切り返し動作にも応用可能。

  • サイドステップ→ストップ

    横方向の減速力を鍛え、守備やフットワークに直結。


■ まとめ

「減速を制御できる=動きを支配できる」ということで減速が上手い選手はケガを防ぎ、動作を次につなげるスピードが速い。

バタバタ音を立てるより“スッと吸収して次に移る”感覚を身につけることが、パフォーマンスアップ、静かに・滑らかに止まれる動ける選手への近道になります。


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