腹部の部分痩せはできるのか?
- 青柳貴宏
- 2 日前
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■「腹筋だけでお腹は凹む?」の誤解
「お腹を引き締めたいから腹筋運動を頑張る」という方は多いですが、実はこれは科学的には効果が限定的です。研究では、6週間腹筋運動を続けても腹部脂肪はほとんど減らず、向上したのは筋持久力だけという結果が出ています(Vispute et al., 2011)。つまり、腹筋を鍛えることは大事ですが、それだけで脂肪が落ちるわけではないのです。
■ “部分痩せ”は本当に不可能?
「スポットリダクション(部分痩せ)」についても検証が進んでいます。片脚だけ運動させた実験では、その部位の皮下脂肪で血流や脂肪分解がやや高まることは確認されています(Stallknecht et al., 2007)。ただし、その効果は非常に小さく、見た目の変化につながるほどではないというのが大方の結論です。要するに、「まったくのゼロではないが、期待しすぎてはいけない」というのが実際です。
■ お腹を凹ませたいなら“全身”で攻める
腹部脂肪(特に内臓脂肪)を減らすには、やはり全身的なアプローチが欠かせません。
有酸素運動:週150〜300分の中強度(速歩、バイクなど)が推奨されています。体重が減らなくても、内臓脂肪は有意に減少することが報告されています(Ross et al., 2000)。
筋力トレーニング:筋量を守り、姿勢を改善して「締まった見た目」に直結。単独で部分痩せは難しくても、シルエット改善に効果大。
食事管理:−300〜500 kcal/日のカロリー赤字+体重1kgあたり1.6〜2.2 gのたんぱく質。脂肪は落としつつ筋肉を維持するのが基本です。
■ 実践のポイント
有酸素運動を習慣化:会話できる程度のペースで30〜45分を目安に。
全身筋トレで基礎代謝を守る:スクワット・デッドリフトなど大筋群を中心に。
腹筋運動は“形づくり”として:体幹の強化は必要ですが、脂肪燃焼は他の要素と組み合わせてこそ。
■ まとめ
腹筋だけではお腹は凹まない。
“部分痩せ”効果はゼロではないが、実用的とは言えない。
有酸素運動・筋トレ・食事管理の三位一体が、腹部を引き締める最短距離。
「お腹痩せ=腹筋」ではなく、体全体をどう動かすかを意識することが、本当に効果的な“腹部ダイエット”につながります。
📚 参考文献
Vispute SS, et al. J Strength Cond Res. 2011.
Stallknecht B, et al. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2007.
Ross R, et al. Ann Intern Med. 2000.
Ohkawara K, et al. Obes Rev. 2007.

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