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トレーニング


VBT ー Velocity Based Training:速度基準トレーニング
■ "重量"ではなく“挙上スピード”を基準に VBT(Velocity Based Training)とは、挙上速度(バーの動く速さ)を基準にトレーニングを管理する方法です。従来の「1RMの○%」による設定と異なり、その日のコンディション(疲労や神経系の状態)を反映できるため、競技アスリートを中心に注目が高まっています。 ■ 速度と力の関係 筋力発揮は「力‐速度曲線(Force–Velocity Curve)」で説明されます。 高負荷では速度が遅く、低負荷では速度が速くなるという物理法則的関係に基づき、 挙上速度を測定して、実際の負荷強度(%1RM)を推定 します。(Gonzalez-Badillo & Sánchez-Medina, 2010) ■ 速度ゾーン別トレーニングの目安 目的 平均速度(m/s) 負荷目安(%1RM) 代表的種目例 最大パワー 0.75〜1.0 約40〜60% クリーン、スナッチ、ジャンプスクワット 筋肥大 0.45〜0.75 約60〜80% ベンチプレス、スクワット 筋力向上 0.3〜0.45 約80〜90% ベンチ

青柳貴宏
10月20日読了時間: 2分


弾性要素と収縮要素
■筋肉の力は「二つの要素」で生まれる 筋肉が力を発揮するとき、その内部では 収縮要素(Contractile Element:CE) 弾性要素(Elastic Components:SEC・PEC) という二つの仕組みが協調して働いています。 ◉収縮要素(Contractile Element) 筋原線維(アクチンとミオシン)の滑走によるいわゆる筋収縮そのもの。神経刺激によってカルシウムが放出され、アクチンとミオシンが結合して力を生み出す。主にコンセントリック収縮で強く働きます。 ◉弾性要素(Elastic Components) 筋腱複合体に含まれる弾性組織。 SEC(Series Elastic Component) :筋繊維と直列に存在(腱・筋節の弾性部分) PEC(Parallel Elastic Component) :筋膜や結合組織など、筋繊維と並行に存在これらは「ゴム」のように伸び縮みし、一時的にエネルギーを貯蔵して解放することで力を増幅します。 ■弾性要素の寄与はどのくらい大きいのか? 実際の運動では、 収縮要素よりも弾性要素が多

青柳貴宏
10月17日読了時間: 3分


胸郭ずらし ― 体幹の分離動作
■ 胸郭ずらしとは? 「胸郭ずらし」とは、 骨盤に対して胸郭を相対的にずらす(分離して動かす)動き を指します。特に野球やゴルフ、テニスなどの回旋スポーツで重要とされ、 胸郭(胸椎・肋骨・肩甲帯)と骨盤の協調的分離 が、パワー伝達と再現性の高い動作を生み出します。 「腰は残して、胸を切る」「骨盤を先行させて、胸郭を遅らせる」といったコーチングキューが、胸郭ずらしの表現として用いられます。 ■ 胸郭ずらしの役割 回旋パワーの蓄積と解放 骨盤と胸郭の相対的なねじれ(Xファクター)を生むことで、筋・筋膜ラインに張力を作り、エネルギーを蓄える。投球・打撃・スイングの「切り返し」の鋭さにつながる。 動作の安定性向上 胸郭が骨盤と一体化して動いてしまうと、上肢主導になり、手打ち・腕投げになりやすい。胸郭ずらしにより、下半身主導の運動連鎖が成立。 呼吸・体幹機能の向上 胸郭の可動性は呼吸筋(横隔膜・肋間筋)の働きにも関係。ずらし動作を通して、胸郭を「締める」「開く」呼吸コントロールが洗練される。 ■ 胸郭ずらしを阻害する要因 胸椎の伸展・回旋制限(猫背・肋骨の

青柳貴宏
10月16日読了時間: 2分


爆発的パフォーマンスを生む鍵 ―予備緊張・マッスルスラック・RFD・RSIの関係―
■力は「出す前」から始まっている どんなスポーツ動作も、実際に動き出す前からすでに“勝負”は始まっています。投球、ジャンプ、スプリント、スイングなどのすべての爆発的な動作は、力を生み出す準備段階で結果が決まります。 この準備段階を理解するキーワードが、 予備緊張(Pre-tension) 、 マッスルスラック(Muscle Slack) 、そしてそれによって生まれる RFD(Rate of Force Development) と RSI(Reactive Strength Index) です。 ■マッスルスラック:力を出す前に存在する“たるみ” 「マッスルスラック」とは、 筋肉や腱に存在する“たるみ”や“遊び” のこと。 輪ゴムを弾く前に少し緩んでいると、引っ張り始めてから反応が遅れるのと同じで、筋肉もたるんでいる状態では力がすぐに伝わりません。 この「たるみ」を減らすことが、力発揮の速さ動作の効率を高めます。 ■予備緊張:たるみを消す“張りの準備” 予備緊張とは、 動作前に筋肉を軽く緊張させておくこと 。これによってマッスルスラックを消し、筋

青柳貴宏
10月16日読了時間: 3分


トレーニングとは「ストレスへの適応」
■ トレーニング=身体への“ストレス実験” 私たちは「筋トレ」「走り込み」などを“鍛える”と表現しますが、生理学的にはすべて 身体にストレスを与える行為 です。この「ストレスへの反応」を最初に体系化したのが、生理学者ハンス・セリエ(Hans Selye,...

青柳貴宏
10月11日読了時間: 3分


デプスジャンプとドロップジャンプの違い
ジャンプトレーニングの代表格として知られる「デプスジャンプ」と「ドロップジャンプ」。どちらも「高い位置から降りてすぐ跳ぶ」動作に見え混同してしまいそうですが、実は目的も効果もまったく違うトレーニングです。今回は、この2つの違いと、野球などの競技動作への応用について解説します...

青柳貴宏
10月10日読了時間: 3分


動作の「減速」を制御する
■ 減速とは何か? 走る、跳ぶ、切り返す――あらゆるスポーツ動作には「加速」と同じくらい「減速」が存在します。 減速とは、 スピードや勢いをコントロールして止める、あるいは方向を変える局面 のこと。 ここで身体を上手にコントロールできるかどうかが、ケガを防ぐ、次の動作へスム...

青柳貴宏
10月10日読了時間: 2分


オーバーカミング・アイソメトリックスとは?
■ 定義 オーバーカミング・アイソメトリックス とは、「動かせない対象に対して“全力で押す/引く”ような形で行う等尺性収縮(アイソメトリック)」の一種です。 例: 壁を全力で押す パワーラックのセーフティバーを全力で引き上げる 地面に固定したチェーンやベルトを引っ張る...

青柳貴宏
10月2日読了時間: 4分


筋肉をつければ痩せる? ― 基礎代謝と脂肪燃焼の誤解
■ よくある誤解 「筋肉を増やせば基礎代謝が上がって自然に痩せる」これはフィットネス界隈でも頻繁に耳にするフレーズです。しかし科学的に見れば、この考えは 半分正解で半分間違い 。正しく理解しないと、期待外れの結果になりかねません。 ■ 筋肉が消費するエネルギーは意外と少ない...

青柳貴宏
9月26日読了時間: 2分


オーバーワークとは何か?
■ オーバーワークの定義 トレーニングにおいて「頑張りすぎ」は必ずしも成果につながりません。オーバーワーク(overwork)とは、 運動量・強度・頻度が体の回復力を超えてしまい、パフォーマンス低下や慢性的な疲労を招く状態 を指します。...

青柳貴宏
9月22日読了時間: 3分


腹部の部分痩せはできるのか?
■「腹筋だけでお腹は凹む?」の誤解 「お腹を引き締めたいから腹筋運動を頑張る」という方は多いですが、実はこれは科学的には 効果が限定的 です。研究では、6週間腹筋運動を続けても腹部脂肪はほとんど減らず、 向上したのは筋持久力だけ という結果が出ています(Vispute et...

青柳貴宏
9月21日読了時間: 2分


「ローテーション」と「アンチローテーション」
野球のバットスイングは、全身の力を効率的にボールへ伝える高度な運動です。その中心にあるのが「ローテーション(回旋)」と、それに拮抗する「アンチローテーション(抗回旋)」です。どちらも一流打者のスイングに欠かせない要素ですが、混同されやすいため整理してみましょう。...

青柳貴宏
9月21日読了時間: 3分


脂肪燃焼に有効な有酸素運動 ― 目標心拍数を活用しよう
■ 脂肪燃焼と運動強度の関係 「脂肪を燃やすには長時間の有酸素運動が良い」と言われますが、実は 運動強度によってエネルギー源の割合(糖質 vs 脂質)が変化 します。研究では、 中強度(最大心拍数の50〜70%)の運動で脂肪酸利用が最も高まる...

青柳貴宏
9月12日読了時間: 2分


ダイエットに有酸素運動は必要か?
■ 「筋トレだけで痩せられる?」という疑問 近年は「ダイエットには筋トレだけで十分、有酸素は不要」という意見も聞かれます。確かに筋トレは筋量を維持・増やし、基礎代謝を守る上で不可欠です。では、有酸素運動は本当に要らないのでしょうか? ■ 有酸素運動の確かな役割 1....

青柳貴宏
9月12日読了時間: 3分


追い込みは必要か? ― 筋肥大とダイエットの視点から考える
パーソナルジムなどを利用する理由の一つとして、「追い込んでくれる」点を挙げる方も多いかもしれません。今回は筋トレの追い込みについて考えてみたいと思います。 ■ 追い込み(フォーストレップ)とは? 「追い込み」とは、限界まで反復した後に補助者のサポートを受けてさらに数回追加す...

青柳貴宏
9月11日読了時間: 2分


子どもの足育と運動能力 ― 薄底シューズをシーンに応じて取り入れるメリット
今は子どもの時から、かなりの 厚底タイプのランニングシューズ が一般的となってきています。クッション性が高く、長時間履いても疲れにくい「安心感」があり、怪我予防のイメージも強いのですが、スポーツ能力向上との関係で考えてみたいと思います。 ■ 足裏感覚は「運動神経の入り口」...

青柳貴宏
9月2日読了時間: 2分


徐脂肪指数(FFMI)とは? アスリートが注目すべき理由と高め方
■ 徐脂肪指数(FFMI)とは? Fat-Free Mass Index(FFMI) の日本語訳で、「徐脂肪体重(=筋肉・骨・水分など脂肪以外の体重)」を身長で割って算出した指標。 計算式 FFMI=徐脂肪体重 (kg)÷身長 (m)² 👉...

青柳貴宏
8月27日読了時間: 3分


ヒップロックとは何か? 競技動作に生きる“止める力”
■ ヒップロックの定義 「ヒップロック」とは、 骨盤をしっかり“止める”ことでエネルギーを上半身へ伝える動作 を指します。具体的には、 片脚で接地した瞬間に股関節まわりを安定させ、骨盤を前方に突っ込ませない その“止め”を起点に、体幹の回旋や上半身の動きに力を伝えるという考...

青柳貴宏
8月26日読了時間: 2分


学生スポーツ選手こそ「ピリオダイゼーション」と「ピーキング」を意識しよう
■ 漠然とトレーニングをしていませんか? 部活動やクラブでの練習は「毎日全力で取り組む」ことが美徳とされがちです。しかし、スポーツ科学の観点から言うと強度や内容を計画的に変化させなければ、成長は頭打ちになります。むしろ疲労が蓄積し、ケガやオーバートレーニングにつながる危険も...

青柳貴宏
8月26日読了時間: 2分


10月〜3月:中3生トレーニングプログラム(野球)
中学3年生にとって夏の部活動やクラブチームの引退は大きな節目となります。 その後は部活動がなくなり受験勉強が中心となり、どうしても運動量が減ってしまいがちです。高校で部活を本格的に行いたいと思っている人にとっては、この半年間の過ごし方は重要で、試合などパフォーマンスが求めら...

青柳貴宏
8月25日読了時間: 3分
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