間欠性断食の効果と安全性 ― 科学的エビデンスに基づいて
- 青柳貴宏

- 9月2日
- 読了時間: 3分
■ 間欠性断食とは?
間欠性断食(Intermittent Fasting, IF)は、食事の摂取タイミングを制限する食事法で、「何を食べるか」ではなく「いつ食べるか」に着目します。代表的な方法は以下の通り:
16:8法:16時間断食、8時間で食事
5:2法:週2日は大幅なカロリー制限、他の5日は通常食
隔日断食(ADF):1日おきに断食または低カロリー食
■ 科学的に確認されている効果
1. 体脂肪減少と体重管理
IFは従来のカロリー制限と同等、あるいはそれ以上に 体重・体脂肪減少をもたらす ことが報告されています【Varady, 2011】。
特に16:8法は「無理なく継続できる減量法」として有効性が確認されています【Gabel et al., 2018】。
2. インスリン感受性と血糖コントロール
IFはインスリン感受性を改善し、空腹時血糖値を下げる効果があると報告されています【Patterson & Sears, 2017】。
糖尿病リスク低減の補助として有用である可能性があります。
3. 心血管リスク因子の改善
IFは血圧・中性脂肪・炎症マーカー(CRP)の低下をもたらすという報告もあります【Tinsley & La Bounty, 2015】。
4. 細胞修復とオートファジー
動物実験では、断食時間が細胞内のオートファジー(自己修復機構)を促進し、老化や神経変性疾患予防に関連することが示されています【Madeo et al., 2019】。
人間での長期的効果はまだ研究途上ですが、期待が高まっています。
■ 安全性について
健康な成人における短〜中期の研究では、有害な副作用はほとんど報告されていません。
一時的に「空腹感・集中力低下・頭痛」などが起こる場合もありますが、多くは数日で軽減します。
注意が必要な対象:
成長期の子どもや思春期の学生
妊娠・授乳中の女性
糖尿病患者や低血糖リスクのある人
摂食障害の既往がある人
👉 安全性は高いが対象者に応じた慎重な対応が必要です。
■ 実践方法(初心者向け)
16:8法が最も取り組みやすい:夜20時に食事を終え、翌日の12時まで断食。12〜20時の間に2〜3回の食事。
水分補給は自由(無糖コーヒー・お茶・水は可)。
まずは「12時間断食」から始め、徐々に延ばすのが現実的。
■ まとめ
間欠性断食は 体脂肪減少・血糖改善・心血管リスク低下・細胞修復促進 など、多方面で効果が報告されている。
健康な成人にとって安全性は高いが、成長期や持病のある人は注意。
継続のしやすさが成否を分けるため、「自分の生活に合った方法」を選ぶことが重要。
📚 参考文献
Varady, K. A. (2011). Intermittent versus daily calorie restriction: which diet regimen is more effective for weight loss? Obesity Reviews, 12(7), e593–e601.
Gabel, K., et al. (2018). Effects of 8-hour time restricted feeding on body weight and metabolic disease risk factors in obese adults: A pilot study. Nutrition and Healthy Aging, 4(4), 345–353.
Patterson, R. E., & Sears, D. D. (2017). Metabolic effects of intermittent fasting. Annual Review of Nutrition, 37, 371–393.
Tinsley, G. M., & La Bounty, P. M. (2015). Effects of intermittent fasting on body composition and clinical health markers in humans. Nutrition Reviews, 73(10), 661–674.
Madeo, F., et al. (2019). Fasting-mimicking diets: a review on intermittent fasting and periodic fasting. Cell Metabolism, 29(3), 407–421.





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