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オーバーワークとは何か?

■ オーバーワークの定義

トレーニングにおいて「頑張りすぎ」は必ずしも成果につながりません。オーバーワーク(overwork)とは、運動量・強度・頻度が体の回復力を超えてしまい、パフォーマンス低下や慢性的な疲労を招く状態を指します。

国際的なスポーツ医学の定義では、以下のように段階的に整理されています。

  • オーバーリーチング(過負荷):短期間の疲労蓄積。数日〜数週間の休養で回復する。

  • オーバートレーニング症候群:長期間の回復困難を伴い、ホルモン分泌・免疫機能・精神状態にも悪影響を及ぼす深刻な状態(Meeusen et al., Eur J Sport Sci, 2013)。

つまり「一時的に頑張って疲れる」ことと、「慢性的に回復できない」ことは区別して考える必要があります。


■ オーバーリーチングとオーバーワークは別物

ここで重要なのは、「オーバーリーチング」と「オーバーワーク」を混同してはいけないという点です。

  • オーバーリーチング=成長のために必要な一時的負荷

  • オーバーワーク=回復不能に陥る危険信号

つまり、オーバーリーチングは計画的に取り入れるべきもの、オーバーワークは避けるべき状態です。

👉 オーバーリーチングなくして成長なしですが、それを超えてオーバーワークに陥るとかえって成果が出なくなります。


■ なぜオーバーワークは起きるのか?

  1. 休養不足 睡眠不足や連日の高強度トレーニングで、筋肉や神経が回復する時間が足りなくなる。

  2. 栄養不足 特に炭水化物やたんぱく質が不足すると、筋肉の修復やエネルギー補給が間に合わない。

  3. 心理的ストレス 学校生活や仕事のストレスも、身体の回復力を削ぐ要因になる。

  4. プログラム設計の欠如 ピリオダイゼーション(計画的な負荷変動)がないと、常に全力で練習してしまい疲弊する。


■ オーバーワークに陥るとどんなサインが現れる?

  • トレーニングしてもパフォーマンスが落ちる

  • 常に体が重い、疲れが抜けない

  • 睡眠の質が悪化

  • 怪我や風邪にかかりやすくなる

  • やる気が出ない、集中できない

これらが数週間以上続く場合は「オーバートレーニング症候群」に陥っている可能性があります。


■ 防ぐためにできること

  • トレーニング量の周期化:高強度と低強度の日を組み合わせる

  • 十分な睡眠と休養:7〜9時間の睡眠、週1日の完全休養日を確保

  • 適切な栄養摂取:炭水化物でエネルギーを、たんぱく質で筋修復をサポート

  • 主観的疲労チェック:練習日誌やRPE(主観的運動強度)で疲労を見える化


■ まとめ

オーバーワークは成長を止めるブレーキです。「休むこともトレーニングの一部」と捉え、メリハリあるトレーニング計画を意識することが大切です。


📚 参考文献

  • Meeusen R, et al. Prevention, diagnosis, and treatment of the overtraining syndrome. Eur J Sport Sci. 2013.

  • Kreher JB & Schwartz JB. Overtraining Syndrome: A Practical Guide. Sports Health. 2012.

  • Budgett R. Fatigue and underperformance in athletes: the overtraining syndrome. Br J Sports Med. 1998.


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