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ホエイとカゼイン ― 効果的な使い分け

■ ホエイとカゼインの違い

  • ホエイプロテイン(乳清) 

    ・牛乳由来の速吸収型(消化吸収:1.5〜2時間) 

    ・必須アミノ酸、とくにBCAA(ロイシン)が豊富

    ・血中アミノ酸濃度を一気に高める

  • カゼインプロテイン(乳凝固成分)

    ・ゆっくり吸収型(消化吸収:6〜7時間)

    ・「アミノ酸の持続供給」が可能

    ・満腹感が持続しやすい


■ 論文から見る効果の違い

  • ホエイは「合成スイッチON」

    Tang et al. (2009) は、トレ後のホエイ摂取が 急速かつ強力に筋タンパク合成を刺激することを示しました。→ 理由:ロイシン含有量が多く、筋肥大のシグナル経路(mTOR)を強く活性化する。

  • カゼインは「分解ブレーキ」

    Boirie et al. (1997) による古典的研究では、カゼインは血中アミノ酸濃度を長時間保ち、筋タンパク分解を抑制する効果が強いと報告されています。

  • 長期比較

    Cribb & Hayes (2006) は、ホエイ摂取群の方が筋力・筋肥大効果がやや高かったと報告。ただし、カゼインの「分解抑制効果」を組み合わせることで、より高い成果を得られる可能性が示唆されています。


■ 実践的な使い分け

1. ホエイプロテイン

  • タイミング:トレーニング直後/起床後

  • 目的:素早くアミノ酸を供給し、筋タンパク合成を最大化

  • :20〜40g(体重や食事量により調整)

2. カゼインプロテイン

  • タイミング:就寝前/長時間食事が空く前

  • 目的:睡眠中や空腹時に「分解を抑えてアミノ酸供給を持続」

  • :20〜40g

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■ ホエイ+カゼインのブレンドプロテイン、吸収速度は?

  • 両方を同時に摂取すると、ホエイ成分は比較的速く吸収されるが、カゼインが胃の中で凝固するため、全体として“やや遅め”の吸収プロファイルになります。

  • つまり、ホエイ100%よりは遅いが、カゼイン100%よりは速い中間的な挙動を示す、というのが一般的な理解です。


■ ブレンドプロテイン 論文の知見

  • Boirie et al. (1997, PNAS) の古典的研究では、ホエイとカゼインを分けて摂取したときの違いを検証。ホエイは血中アミノ酸濃度を急上昇させ、カゼインは長時間持続させました。

  • 一方で、実際の「ミルクプロテイン(ホエイ約20%、カゼイン約80%)」を摂取すると、最初にホエイ由来の急激なアミノ酸上昇があり、その後はカゼイン由来の緩やかな供給が続くことが確認されています。

  • したがって「ホエイが完全にカゼインに引っ張られて遅くなる」わけではなく、“二段階”の吸収パターンになるのがポイントです。


■ ブレンドプロテイン 実践的な使い方

  • トレ後にすぐ合成スイッチを入れたい → ホエイ単独の方がベター

  • 長時間食事がとれないとき/就寝前 → カゼイン or ブレンドが有効

  • 一度に両方をカバーしたい人 → ブレンドは便利 (例:朝の食事がわりに飲む/学校や仕事中に次の食事まで時間が空くとき)


■ まとめ

  • ホエイ = 攻め:トレ後・起床時に速攻で筋合成スイッチを入れる

  • カゼイン = 守り:寝ている間や長時間の空腹で筋分解を防ぐ

  • 吸収速度は “ホエイ100% > ブレンド > カゼイン100%” というイメージで考えるとわかりやすいです

👉 体を大きくしたい学生・社会人アスリートにとっては、「トレ後はホエイ」「就寝前はカゼイン」のダブル使いは理想的です。

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📚 参考文献

  • Tang, J.E., et al. (2009). Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis. J Appl Physiol.

  • Boirie, Y., et al. (1997). Slow and fast dietary proteins differently modulate postprandial protein accretion. Proc Natl Acad Sci.

  • Cribb, P.J., & Hayes, A. (2006). Effects of whey isolate, creatine, and resistance training on muscle hypertrophy. Med Sci Sports Exerc.

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