時間栄養学とダイエット ― 体内時計を味方につける食べ方
- 青柳貴宏
- 16 分前
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■ 時間栄養学とは?
「時間栄養学(Chrono-nutrition)」は、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかが健康や体重管理に大きく関わるとする学問です。人間には「概日リズム(サーカディアンリズム)」という体内時計があり、代謝・ホルモン分泌・消化吸収の効率が時間帯によって変動します。
■ ダイエットと時間栄養学の関係
1. 朝食をとることの重要性
朝食は代謝をリセットし、インスリン感受性が高い時間帯に栄養を取り込むことができる。
観察研究では、朝食を抜く習慣は肥満リスクを高めると報告されています【Jakubowicz et al., 2013】。
2. 夜遅い食事のリスク
夜はインスリン感受性が低下し、同じ食事でも脂肪として蓄積されやすい。
システマティックレビューでも、夜遅い食事は肥満や代謝疾患リスクの上昇と関連していると示されています【Pot et al., 2016】。
3. カロリー配分の工夫
「朝・昼>夜」の順でカロリーを多く配分すると、減量効率が高まることが報告されています。
具体的には、朝食をしっかり摂り、夕食を軽めにする方が、同じ摂取カロリーでも体重減少が大きいという介入研究があります【Jakubowicz et al., 2013】。
4. 間欠性断食との関連
16:8などの「時間制限食(Time-restricted feeding)」は、概日リズムと整合性があり、肥満改善や血糖コントロール改善に有効という報告が増えています【Patterson & Sears, 2017】。
■ 実践のポイント
朝食は抜かずに摂る(たんぱく質と炭水化物をバランスよく)
夕食は21時までに終える(できれば寝る3時間前まで)
昼食を一日のメインに(活動時間帯に栄養を投資)
間食は日中に(夜の間食は代謝的に不利)
週数回は「時間制限食」を試す(12〜14時間の夜断食からでもOK)
■ まとめ
ダイエットは「摂取カロリーの総量」が基本ですが、摂る時間帯によって効率が変わることがわかってきています。
朝しっかり・夜軽めを意識し、体内時計と調和した食習慣を取り入れることで、無理なく体重管理や健康維持が可能になります。
📚 参考文献
Jakubowicz, D., et al. (2013). High caloric intake at breakfast vs. dinner differentially influences weight loss in obese women. Obesity, 21(12), 2504–2512.
Pot, G. K., et al. (2016). Meal irregularity and cardiometabolic consequences: results from observational and intervention studies. Proceedings of the Nutrition Society, 75(4), 475–486.
Patterson, R. E., & Sears, D. D. (2017). Metabolic effects of intermittent fasting. Annual Review of Nutrition, 37, 371–393.

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